「バイデンは本当にトランプに勝てるのか?」
トランプ大統領のコロナ対応には共和党保守本流の支持者の間にも不満の声が高まっており、不満の矛先を交わすため、トランプはすべての責任を中国に転嫁する考えだ。米連邦最高裁リベラル派の判事・ギンズバーグ氏の後任を巡る強硬人事によっても米国内のトランプ大統領への反発は増えている。
9月時点の米大統領選の支持率はバイデン氏がわずかにリードしているが、コロナ禍でZoomやメールで地道に支持を訴えるバイデン陣営に対し、支持基盤以外のメディアへの露出を増やすなど従来型の効率的な選挙戦を行っているのはトランプ陣営。また、「中国」、「暴徒」、「無政府主義者」とバイデン氏を結び付け、否定的なメッセージを植え付け、郊外に住む女性票を取り込もうとするトランプ陣営と比較すればバイデン陣営のメッセージは弱いと言わざるを得ない。激戦州のフロリダでもラテン系においてトランプ陣営が一歩リードしており、バイデン陣営が唯一付け入る隙があるのはトランプ政権のコロナ対応だ。テレビ討論会ではトランプはバイデンの年齢、吃音をネタに揺さぶりをかけてくるだろうが、テレビ討論会は期待値が低い方が勝利を収めてきたこともある。バイデン陣営の訴える経済政策とは国内の製造業の復活により中国に依存しない状況を生み出すことにあり、トランプ陣営とは異なった“アメリカファースト”ということになろうが、現職の大統領を破る戦略としては効果的であり、外交経験ゼロのハリス副大統領候補がどこまで資質を見せられるかにかかっている。トランプ大統領はコロナワクチン開発によって勝利宣言を行いたいが、信憑性は低く、自作自演の国内テロを起こして自身に有利にすることも考えられる。
海野氏は、2012年にワシントンで経験した“オクトーバーサプライズ”の熱気について言及。「露出度とメッセージの強さではトランプ陣営が上回るが、バイデン陣営にも豊富な逆転の選択肢があり、熱狂的な支持者は少ないものの、中道であること、年齢的な要素から共和党支持者の票がバイデンに流れる可能性もある」とバイデン勝利の可能性に含みを持たせた。