「内外情勢について」
わが国の外交の基軸は日米関係にある。20世紀初頭、日英同盟があればこそ国難とも言える日露戦争を乗り越えることができた。今世紀のわが国の外交は日米関係をより深化させるべきだ。現在の国連は1941年の大西洋憲章が基になっており、当時は大西洋が世界の中心だったが、現在はアジア太平洋の時代。今後は日米が中心となって、アジア太平洋での紛争を平和的に解決するためのルールをつくるべきだ。
国土面積としては世界62位に過ぎないが、排他的経済水域面積としては6位を誇る日本が領土領海を守るためには、わが国を構成する6800超の島、領海の起点となる484もの離島の整備も不可欠。尖閣諸島周辺海域に中国海警局の船舶が繰り返し領海侵入する現状で、消滅の危機にある離島の整備など、現政権の国防意識は低いと言わざるを得ない。管轄する区域が曖昧なうえ、武器の使用も可能という中国の海警法は明らかに国際法違反であり、わが国が対処していくためには、海上保安庁と自衛隊が連携できるような国内法の整備も急務だ。日米首脳会談を通じて、日米同盟の重要性を強調するとともに、尖閣諸島を含めた日本の防衛に対する米国の関与をより強めてもらうよう働きかけをすべき。あわせてフィリピン、ベトナムなど東南アジアとの連携も不可欠だ。
6月に行われるG7サミットの議長国は香港問題で中国に煮え湯を飲まされた英国であることはわが国にとってチャンス。日米で根回しして中国の問題を議題に挙げ、国際社会を巻き込んで、力による現状変更を推し進める中国の戦狼外交を戒めるように動くべきだ。
野田氏は、国内問題について現政権の国内のコロナ対策について言及し、「緊急事態宣言下でのGoToトラベル推進や、位置づけ不明なまん延防止等重点措置の新設など、方針が定まらず迷走している印象」と批判。感染防止と経済対策の両立に最も成功した国として前年比で中国よりもプラス成長となったベトナムを挙げ、詳細に解説した。そのほか、2月の福島、宮城両県で起きた大型地震時に明らかになった官邸の危機管理の在り方にも首相経験者として疑問を呈した。質疑応答では、尖閣諸島の国有化に至った経緯、財政健全化に向けての考えを述べた。