「中国の人権侵害に毅然と立ち向かう」
反政府デモに参加した若者に対する警察の実弾発砲など、人権弾圧がまかり通っている香港の光景に衝撃を受け、19年11月の法務委員会で香港問題について答弁。ウイグル問題についても強制的な不妊治療の実態をはじめ、客観的事実が明らかになり、対中政策に関する国際議員連盟(IPAC)から日本も対中制裁で足並みを揃えるよう求められるが、日本にはその仕組みがない。中国に気兼ねする国会議員が多いなか、香港国家安全法制に反対する署名活動で100人以上の国会議員の賛同を得、人権外交を超党派で考える議員連盟を発足させ、現在、人権侵害制裁法の成立を目指している。
英国では、政府が人権侵害を行っている国でビジネスを行う自国企業に対してリスクの指針を出しているのをはじめ、世界各国では、強制労働、児童労働、特定鉱物などに対して人権侵害に関与した国の関係者団体・個人に対し、制裁を科す法律が存在する。子どもなどの弱者やその国の国民全体が煽りを受けるのを避けるため、国でなく対象者個人あるいは団体への制裁というのがポイントだ。サプライチェーンをどこまでチェックすべきかなど課題は多いが、日本には法律もなければ指針すらないのが実状だ。日本は人権外交への取り組みが遅れている。インド太平洋構想の提唱国として、アジアの中で安定的な経済力、軍事力を持ち、道理を主張できる唯一の人権国家として、国際社会と連携して中国の人権侵害に声を上げ、早急に具体的な行動を示すべきだ。ビジネスにおける中国依存からいかに脱却すべきかが国際社会の共通の課題でもある。いま、日本は国際社会からどういう国を目指すかが問われているのだ。
香港市民の保護を目指す超党派の対中政策に関する国会議員連盟(JPAC)を発足させ、IPACのメンバーである山尾氏は、諸外国における企業活動の人権リスクやその検証、情報開示を行うプロセスについても詳細に解説。「これまでわが国の人権外交は対話と協調を重視していたが、制裁という具体的な行動が必要だ。現政権下でその機運は確実に高まっている」とし、日本独自の制裁法の制度設計への取り組みについて力強く語った。