「20世紀は石油を制する者が世界を制したが、21世紀はデータを制する者が世界を制する。つまり、データを集積、解析し、よりよいソリューションを提案した企業、国が勝つ。日本の最大の強みは皆保険、介護保険制度の下で蓄積された医療・介護にまつわる全国民のリアルデータだ。介護まで大規模に社会保障として整備された国は世界になく、諸外国も注目する貴重なデータが、電子化されていない、あるいはシステム共有できていないなどの理由で十分に活用されずにいる。この価値あるデータをプライバシー保護と両立させつつ21世紀最高の資産とし、先進国が今後直面する高齢化に、日本が先駆けて取り組むことでそのソリューションを売れる可能性がある。
米国主導による国際秩序が後退し、中国が新たな国際秩序の提唱者として名乗りをあげているが、日本政府は秩序の規格となりうる中国によるスマートシティー分野の国際規格提案に危機感を強めている。中国が提案する規格が国際標準に採用されれば国内外で中国製品が優位となり、DXの推進とともにプライバシーよりも一人ひとりの行動の把握に重きを置かれるようになる。自由、人権、法の支配があり、プライバシーが尊重される国家統治でなくなる新しい秩序に我々は相容れない。基本的人権、プライバシーを守るための仕組みは世界で共有すべきであり、コロナ終息後の新たな国際秩序の構築に日本は積極的に関与していくべきだ。」
党デジタル社会推進本部座長、党新国際秩序創造戦略本部座長、半導体戦略推進議員連盟会長などを務め、最先端のDX事情に精通する甘利氏。本来IT先進国であった日本が、各省庁が個々にシステム構築を行ったために仕様の共通化が進まず、コロナ禍の給付金の対応にも手間取る現状や、ユーザー情報を重視しなかったために衰退した半導体市場、スパイウェアの現状などについてユーモアを交えながら解説。10兆円規模の大学支援ファンドや世界初の研究のデータベース化など、自らが携わった画期的な取り組みについて言及し、半導体戦略、DX戦略の重要性、日本が成し得る可能性について力強く訴えた。