「コロナ禍の金融政策と経済政策」
地方創生、地域再生には産官学に金融機関を加えた“産官学金”の取り組みが不可欠だ。内閣府は大胆な規制改革とデジタル技術の活用によって暮らしやすい未来都市づくりを目指す「『地方創生スーパーシティ』~デジタル田園都市国家構想~」を推進している。「スーパーシティ型国家戦略特別区域の指定に関する公募」に応募した自治体は、北は北海道・更別村から南は沖縄県石垣市まで31自治体に上った。ほんの20〰30年前までは国が上から自治体を指定するのが常だったが、今ではボトムアップの応募であり、それだけ地域の産官学の力が育ってきたと言える。
とはいえ、現時点で課題は山積みで、デジタル田園都市国家構想の実現には、5Gや光ファイバー網など時代を先取るデジタル基盤を公共インフラとして整備するとともに、これを活用した遠隔医療や防災、リモートワークなど地方のデジタル実装を、国も政策を総動員して支援していく構えだ。
人手不足、負担軽減に対応するため、デジタルを活用して地域の魅力を向上する取り組みとして推進交付金の対象となった事業に、スマホアプリ(MaaS)を活用した観光振興、地域の足の確保、鳥獣害対策、子育て支援、ドローンを使った自動配送、農薬散布、ロボット技術を活用した橋梁点検などがある。デジタル人材の育成も急務だ。
2025年の大阪・関西万博では世界が驚く日本発のDX(デジタルトランスフォーメーション)を披露することを目指す。AIやビッグデータを活用し、高齢化、自然災害、カーボンニュートラルに適応し、暮らしやすく、ビジネスもしやすい都市や社会のDXを推し進めれば日本経済は激変する。
片山氏は、これまで携わった取り組みから得た豊富な知見と統計を基に具体案について詳細に解説。「地方はもっとデジタル化にかかわらないとさらに疲弊してしまう」と危機感を示すとともに、「そのためには多くの人材を抱える地銀や信用金庫を巻き込むことが不可欠」「日本はいまやDXで世界から遅れをとっているが、DX社会では後発から最先端にステージ替えができる」と力強く語った。