「自民党の再生」
先の選挙で自民党が惨敗した一番の理由は、自民党が長年政権の座にあってぬるま湯に浸りきり、国民の声を真摯に受け止める姿勢に欠けていたからだ。
しかも、選挙で大敗し、座席を大幅に失ったにもかかわらず、変わらず派閥による運営、人事が行われているのが現状だ。それでも改革の象徴として私が推していた河野太郎氏は、結果的に総裁選には落選したが党内の4割の支持を集めることができた。これは党内にも世代交代に向けて変わろうという息吹が出始めている証左だ。
自民党は新たに谷垣新総裁のもとにまとまっていく必要があるが、要所要所で国民の期待の声が大きい舛添要一氏や河野氏を打ち出し、新しい自民党をアピールしていくことも必要だろう。
世襲制限も取り組まねばならない課題だ。党内には二世、三世議員も多く、虎の尾を踏む覚悟が必要だが、失われた国民の信頼を取り戻すためにはその試練も乗り越えなければならない。
自民党が変わるためにはまず、体質の改善、中身を換えることであり、次に自民党が何を目指すのか国民の前に示す必要がある。そして日本の国のかたちをどうするのか、党内でも議論があるがしっかりと方向性を示していくべきだ。今回野党に転じたのはいい機会でもあった。
日本は明治維新以降、中央集権体制のもと発展を遂げてきたが、いまや制度疲労により官僚問題や天下りなど様々な問題を引き起こしている。我々が目指すのは「小さな中央政府」であり、国から地方に財源を移動し、地方に自ら責任を持たせるようにすることだ。
自民党は戦後一貫して資源の無い日本をリードしてきた。今後も経済を成長させ雇用を拡大する成長戦略を目指す政党であることを明らかにすべきである。
民主党はばら撒き政策によって内需を拡大しようとしているが、期待されるほどの効果があるとは思えない。
自民党は①環境産業②医療と介護事業③農業と漁業を三大成長産業として位置づけ、特に農業や漁業については大胆に企業の参入、生産競争を促す規制緩和を行う必要がある。最後に教育問題でも国を大切にし、家族を大切にし、公共に貢献できるような教育を目指し、民主党との違いを明らかにしたい。
党として、体質を変え、立ち位置を明らかにしてあるべき国の形を明らかにし、経済成長を目指す。そして教育改革を行う。―この四つを党内の合意を得つつ国民に示し、自民党の発信力を高めていく必要がある。
「自民党そこまでやるのか」というものを打ち出せれば再び第一党になることは可能であり、これからの日本の政治展開も大きく変わっていくと思われる。
民主党に期待した国民もいまやこれではだめだと思い始めている。鳩山氏の資金問題、小沢氏の問題もあるが、それだけで自民党への支持率が上がるわけではない。しかしその一方でまだ自民党も変わっていない。「自民党を変えてくれ」というのが大多数の国民の声であり、我々はこの声に応えていかねばならない。いかに我々が対応していくかによって大きく変わっていく。
質疑応答では、参加者から自民党と菅氏に対する意見、叱咤激励が相次ぎ、活発な意見交換が行われ、活気あふれる講演会となった。