「12月10日の安倍・プーチン会談で大きな進展に期待」
物事を解決するにはタイミングが肝要だ。1956年の日ソ共同宣言から60年目の節目にあたる今年の日露首脳会談では安倍、プーチンという共に自国で高い支持率を持つ強いリーダーの下、北方領土問題、平和条約交渉の進展など、何らかの道筋がつけられるだろう。
北方領土問題で2島返還ともなれば歴史的にも大きな前身となるが、そこまで期待するのは早計というものだ。戦後71年、ここまで来るのは簡単な道のりではなかった。日本には日本の言い分、国内に対米関係を最重要視する勢力があるように、ロシアにも世論がある。外交には相手があるものであり、一歩一歩確かな前進を積み重ねるのみ。最後は首脳の判断となろうが、そのための環境づくりが外務省の役割ではないか。
北方領土問題に当初から携わってきた鈴木氏は、日露首脳会談について、「日露関係に賭ける想いは父の晋太郎氏から引き継いだもの。今回何かしら道筋を必ずつけてくれるものと期待している」と予測。領土問題についても、「元島民の意向も十分に理解している安倍総理なら必ずよい方向に導いてくれる。日露関係には何の心配もしていない」と述べた。
両国関係については、「ロシアは日本にとって地政学的にも隣国であり、日本の応用技術、ロシアのエネルギーを活用することで、サウジアラビア、米国に依存しているわが国のエネルギー供給も安定する」との認識を示した。
鈴木氏は、北方四島の現状、元島民の意向、プーチン大統領といまでは互いにファーストネームで呼び合うまでに信頼関係を築いた安倍首相の対露外交の経緯などについて熱弁。このほか、佐藤優氏との出会いや小渕元総理の回想、杉原千畝氏の名誉回復などについても様々に言及し、ムネオ節で聴衆を魅了した。
その後の質疑応答では主にメディア関係者から、93年の東京宣言の位置づけ、対戦艦ミサイル配備にみられるロシアの強硬姿勢、日露が急接近することで対米関係はどうなるか、二島返還となった場合の統治問題など鋭い質問がなされた。
鈴木氏は、来年以降の国際情勢について、「トランプ政権誕生で米露関係が改善され、それは日露関係、ひいては対中韓関係の改善につながるだろう。トランプ政権は日露関係にとって好機となる」との認識を示した。