「朴槿恵辞任後の韓国情勢と日韓関係の行方」
わずか数カ月の間に韓流ドラマ顔負けのスキャンダルが噴出し、朴槿恵を取り巻く環境は激変した。朴槿恵はその生い立ちから『国と結婚した人』として誰よりも愛国心が強くクリーンな政治家として国民の期待が高かった分、韓国民にとっては裏切られたという失望が大きい。韓国はよくも悪くも世論に左右されるという一方で、“非暴力的な、成熟した民主主義運動の新しい形”と報じる欧米のメディアも多い。朴大統領への弾劾訴追案が出され、憲法裁判所の判断が待たれるが、当の朴氏は「法的責任はない」「嵌められた」と一貫して法的無罪を主張し続ける一方で、検察の事情聴取には応じていない。このままでは憲法裁判所は任期切れとなる審判官が続出することから、朴氏は評決を有利に進めるために、引き延ばしにかかっているものとされる。
国をここまで大きな混乱に陥らせながらもその政治的責任を果たそうとしない朴政権、セヌリ党にどのような審判が下るのか。すでに次期大統領選に向けた動きが本格化しており、5月半ばの決定が待たれる。
オバマ政権までは日米韓の協力の必要性を訴えていた米国だが、トランプ政権下では3国の多方面にわたる連携はさほど重要視されず、地域連携はあくまで米国にとって重要な安保的部分だけに絞られるのではないか。
慰安婦問題の解決は、次期大統領に誰が就任してもすんなり解決とはならないだろう。慰安婦問題合意の解釈が2国であまりに勝手に再生産され過ぎているのが要因だ。韓国側にも言い分があり、そもそも韓国側には日本がなぜ慰安婦像の撤去にこだわるのか理解できない。これは日韓の認識の違いであり、慰安婦は韓国にとって忘れてはならない“記憶”であり、日本の“水に流す”という考えは、韓国にとっては歴史忘却と映る。
日韓関係は経済、安保的にも重大なパートナーであることに変わりはなく、両国は互いの価値を再認識し、冷静な対応が必要だ。
金氏は、朴大統領の支持率が急激に低迷した背景、大統領に権力が集中し過ぎる韓国の構造的な問題、次期大統領選の有力候補とその背景についてなどを詳細に解説。「昨今の親日、反日を踏み絵として裁断しようという風潮には疑問だ」とし、「私自身は親日でも反日でもなく、日本を知るために努力している立場」と語った。その後の質疑応答でも活発なやりとりが行われた。