「習近平政権のゆくえ」
中国では昨年のスマホ決済金額が1337兆円規模に達した。電子商取引の最大手アリババのネットワークはいまや世界26カ国に及び、豊富な資金力を生かして貪欲に企業買収を進めているが、その中に日本企業は含まれていない。2017年を境に日本の技術が中国を上回る時代は終わり、医療検査機器も中国から輸入する時代となった。世界で最先端の技術を生み出す場はいまや深圳へと移りつつある。もはや日本企業は相手にされていないのだ。
スマホ決済下で中国ではシェア自転車、シェアカーなどシェアエコノミーが普及し、犯罪の質も変わってきた。いずれモノを所有するという概念自体も変わってくるのではないか。
自動運転への技術開発の投資はわが国全体で300億円規模に対し、中国はアリババ一社で1.7兆円規模に達し、日中の技術力の差はますます広がるばかりだ。
ニューエコノミーへの移行が進む中国では国を挙げてEV推進に舵を切った。新規参入企業は後を絶たず、EVの弱点とされていた充電問題も太陽光パネルを敷き詰めた高速道路を整備することで解決していく考えだ。
ニューエコノミーが大躍進する半面、いわゆるオールドエコノミーとされる金融機関やディーゼルエンジン車メーカーはいずれ淘汰されていくであろう。
中国が次に見据えるのは一帯一路だが、あまりにも領域が広く、すべてを網羅することはとうてい不可能だ。ここに後発国としてのわが国が入り込む余地があるのではないか。
富坂氏は、わが国の現状について「家電というかつての柱が折れ、世界が電気自動車へと舵を切る中でディーゼルエンジン車に頼る自動車産業も風前の灯」とし、「国家としてしっかりとした政策を立てるべきであり、働き方改革などやっている場合ではない」と批判。一帯一路構想に対しては、「わが国はやみくもに反対するのではなく、利益を取りにうまく立ち回るなど、柔軟に対応すべき」と語った。
その後の質疑応答で、米中貿易戦争の行方に質問が及ぶと「思いつきでやっている米国に対して、中国も迷っているのではないか」との見解を示した。