「日韓の歴史問題を斬る」
日韓は安全保障上の利害が共有できるはずだが、戦後74年経ったいまなお何度も歴史問題が蒸し返されている。かつて廬武鉉元大統領が「わが国の歴史は情けないので、国民に誇りをもてる歴史を与えたい」と発言したことがあったが、韓国は先の大戦で日本の統治下にあり、日本と戦わずに戦後解放され、自分で独立を勝ち取った歴史がないという負い目がある。そのトラウマを克服すべく、「日本と戦って戦勝国であったはずだ」という虚構を作り上げようとしていることが日韓の歴史問題の背景にある。日本の統治時代を知っている世代が存命中は無理な主張をしてこなかった韓国だが、近年の慰安婦、徴用工、旭日旗に関する主張は度を超えている。特に、徴用工については自主的な募集で面接もあったはずだが、全部強制というのは筋が通らない。
常に大国に挟まれてきた朝鮮半島が国の体制を保つには、その時代の大国に委ねるしかなく、韓国にとっては常に中国が絶対的な存在であり、唯一の例外が清の強国が揺らいだ日本の統治時代だった。韓国が経済成長を果たし、日韓の経済格差がなくなったいま、韓国が自国のアイデンティティを確立しようとして、国際世論も巻き込んで壮大な情報戦を仕掛けている。
南北融和の流れは、この先、韓国の政権がどう変わろうと止まらないだろうが、文政権は朝鮮統一国家としてさらに踏み込んだ歴史を作ろうとしている特異な革命政権であることも事実。
翻ってわが国には歴史に国家としてのコンセンサスがない。成熟した先進国として、日本人としての歴史を語れるようにならないと韓国との歴史戦に対抗することはできない。
松川氏は文政権周辺と一般の韓国人との認識に大きな隔たりがあると指摘。「韓国の巧みなプロパガンダに日本も学ぶべきことは多い」としながら、「多くの普通の韓国人は反日ではない。民間レベルで経済交流を活性化していくべき」と述べた。そして、「しばらくは日韓関係が難しい時期は続く」と前置きしたうえで日韓の将来について希望をうしなってはならないとの見方を示した。その後の質疑応答でも活発なやりとりが行われた。