「日中関係の展望」
中国政府は、1978年の鄧小平政権以降、一貫して改革開放路線を継続している。昨年二度訪中したが、中国の技術革新は目覚ましく、街中の無人タクシーひとつとっても日本はいまや技術的に中国に大きく後れを取っている。キャッシュレスが浸透し、監視社会ではあるが、窃盗や交通違反がなくなり、「幸せな監視社会」を実感している市民が多い印象だ。
中国は歴史上常に世界一であり、近代の150年は中国、世界にとって例外的な時期であった。建国百年にあたる2049年には習近平の誇大妄想ではなく、台湾を取り戻して昔の中国に戻るという感覚があり、わが国としては、台湾有事は避けなければいけないが、中国を2〰5千年単位で考えることが大切だ。
習近平政権の基本的立場は、改革の深化には、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論を堅持し、『新時代の中国の特色ある社会主義』思想を全面的に貫徹することを目指す。不動産不況など、現在中国経済は低迷しているが、それでも日本よりも成長していることは事実。深圳市の外資への開放やビザの免除などを実施しているほか、個人消費を促す製品開発を目指している。ハイテク人材の育成にも余念がなく、技術革新が今後の中国の発展を牽引するとして、引き続きデジタルトランスフォーメーション推進を強化していく考えだ。中国は5G、宇宙、高速鉄道などでも強みを発揮している。香港は経済都市から政治都市に変わったが、世界の金融都市ランキングでは東京の19位(舛添知事時代は5位)に対して4位となっている。
2016年に都知事辞職後はテレビのコメンテーターや執筆などで活躍している舛添氏。「中国は言論の自由こそないが、普通の国。科挙のある、一部のエリートが支配する学歴社会ゆえに道路情報を政府が一元的に管理し、自動運転にせよ、日本より統治がうまくいっている」との持論を展開。「中国はすごい勢いで軍拡を進めており、国際秩序はパックス・アメリカーナからパックス・シニカに移りつつある」とし、「米国が落ちれば、将来的に国際秩序は中国とインドの争いになる」と予測した。そのほか、広東にある日本のトヨタ、日産、ホンダの工場についても言及し、「わが国も少子高齢化に対応するため、自動運転の対策も行うべきだ」などと述べた。