2025年3月4日「政民東京會議」講師/前原 誠司 日本維新の会共同代表

2025年03月04日
  

教育立国の必要性!」

 この30年間日本の賃金は上がらず、国際競争力は過去最低の世界38位に転落。世界時価総額ランキングでも1989年時点で上位20社中日本企業が14社を占めていたのに比べ、今年3月時点で100位に入ったのはトヨタ一社のみという体たらくだ。企業業績の推移でも内部留保が324兆円増加したのに対し、設備投資、人件費はそれぞれ3.3〰3.6兆円増加したに過ぎない。いまや日本のGDPに匹敵する600兆円に積み上がった内部留保をいかに設備投資、人件費に回すかが新しい資本主義と言えるだろう。

 日本の凋落を招いたのは人への投資を怠ってきたからだ。OECD諸国のデータによれば高等教育の公的支出を増やすほど労働生産性が上がり、経済成長につながっていることがわかる。教育支出の公私負担割合はOECD諸国平均28.6%に対し、日本は63.4%。労働生産性はOECD加盟国中29位であった。主要国の研究開発費はこの40年間で世界の覇権を争う米中が大幅に増やしているのに対し、日本は微増に留まり、日本の大学発スタートアップには勢いがない。大学を変え、スタートアップを大学で育て、ベンチャーを育成し、その中から社会を変える企業を生み出す。地域に即したベンチャー事業によって地域の雇用を生めば付加価値が生まれ、地域の経済を成長させていくことにつながる。その好循環を教育、大学改革からつくっていく。その人材を生み出すために所得に関係なく誰もが学べる環境をつくる。そのための教育無償化だ。 

 前原氏は豊富なデータを提示しながら先進国と比較しての日本の大学の現状や、世界のトップランクの大学の基金の運営状況などにも言及し、日本の大学を早急に改革する必要性を強く訴えた。また今回の3党合意の主な内容について触れ、「年収の壁議論は後味の悪いものとなったが、野党・維新としては政策実現という果実を取った。我々は現実的に進めている」と自賛し、今後も「野党の立場でしっかりやっていきたい」と述べた。質疑応答では、日本の大学が悪条件の中で健闘しているのではないかとの意見もあったが、高度人材の育成の必要性について持論を展開した。