文部科学省は高校授業料実質無償化の対象に朝鮮学校を加える方針を固めたようだ。同省の専門家会議で議論され、適用は妥当と判断されたものだ。これまで文科省は外国人学校は無償化の対象に該当しないとしてきたが、最終的に朝鮮学校を「高校に類する課程」とみなし、年内に生徒一人当たり12万円の就学支援金を支給することになろう。
これら民間人6名による「専門家会議」の本質はあらゆる苦言や批判を吸収するクッション装置でもある。これらは民の代表が議論して決めるというが、最初から結論ありきの最高決定機関である。たとえば皇室典範改正にみる有識者会議ははじめから女性・女系天皇を容認することを目的に有識者が集められ、お膳立てが出来ていた。つまり、行政にとって都合の良い目くらまし機関との声もある。
文科省が「専門家会議」のメンバーも明らかにせず、会議内容を非公開としたのも、最初から無償化適用の立場をとる有識者が集められたためだ。民主党はマニフェストで徹底した情報公開を行い、行政の密室性を打破すると公約したが、実際には密室政治が行われ、法治から人治政治に変わっただけのことである。
朝鮮学校の実態
朝鮮学校は北朝鮮や金正日総書記が支配する在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の方針に役立つ人間の育成を目的としている。同校の校長は金正日総書記から直接指名され、総連と朝鮮学校は一心同体の関係にあった。それゆえ本国と同じく、「先軍政治」をはじめ、北朝鮮、金一族の礼賛を行い、偏向した反日教育が公然と行われている。こうして毎年同校で学んだ子供たちはわが国に憎しみを抱いて卒業し、大人になれば日本人に帰化してわが国政府の重要ポストに就く。これでは朝鮮学校は反日軍の養成機関だとの声もある。
北朝鮮は拉致もすれば爆破テロも行う独裁・全体主義国家である。最も重要なことは朝鮮学校でいかなる教育がなされているかだが、川端達夫文科相は「無償化に関してその中身を問うこととは考えていない」と思想教育や歴史教育は判断材料としない方針だと言っている。このような反日的な学校に文科省が無償化を推し進めてきたのはなぜか。わが国を仮想敵国とする総連と朝鮮学校の実態をチェックしないという文科省とは何か。われわれは朝鮮民族を敵視しているのではなく、北朝鮮という不法国家を問題にしているのだ。
前回の衆院選では有権者は民主党政権の行政改革に期待したが、実際には改革どころかマニフェストの公約すら実行できていない。その裏では国民の目に触れない政策が数多く法案化され、国家の重大事を迎えている。多くの国民もこのことに危機感を抱きつつあり、先の参院選では「みんなの党」に行革票が移動した。
日教組教育の弊害
一方、わが国の教育も日教組主導で朝鮮学校と呼応するように自虐史観に基づいた思想教育や歴史教育が行われてきたことは周知の通りである。現在の教育現場の惨状は、教職員らが教育現場を政治闘争の場にしてきたためであった。これまで政治も、マスメディアも産経新聞以外は日教組問題を取り上げてこなかった責任が問われてしかるべきだ。
日教組の正体は昭和22年に旧社会党と共産党が合流して作られた左翼団体である。彼らは国家の崩壊を目論み、自国の歴史を捏造し、子供たちに韓国と中国による歴史観を是とする偏向教育を指南した。特に、先の大戦における中国の南京事件などはひどいもので、全くの捏造で故意に作られた歴史認識であった。最近では、これらがあくまで政治的意図による作られた歴史的解釈であるとの認識が国民の間にも広まり、過去の歴史を正しく教える教科書も発行されるようになった。
教職員は政治運動をやめ、青少年の教育に専念すべきである。教育者にはわが国の先人たちが築き上げてきた尊い倫理的精神を継承し、偉大なる過去を多くの国民に喧伝する使命がある。今日のように「すべての過去は悪であり、先人は悪人どもの集団であった」と教える左翼イデオロギー教育では、子供たちに夢や希望を持たすことはできない。これでは国は亡びるしかない。
日本発の反日史観
かつて日教組の委員長であった槇枝元文氏が渡部昇一氏と対談したときの事である。渡部氏は、「日教組の人たちは南京大虐殺で20万とか30万人の中国市民が(日本軍に)殺されたと思っているのですか」と問うた。槇枝氏は「陥落当時はそのままかもしれないが、それから何カ月もかければ20万人は殺せたのではないでしょうか」と答えたという。つまり何の知識もなく、事実を確認もせず、何でも悪いのは日本人だとする反日家であった。
槇枝氏は「陥落当時は20万人であった南京の人口が1カ月後には25万人になった」と述べている。筆者は当時南京にいた戦争体験者らと南京事件について話す機会があった。アメリカ、ドイツなど外国の大使館の人は「日本軍がやってきたことで治安が安定し、駐在外国人たちの食料の配給も安定した」と日本軍を賞賛している。
筑波大学名誉教授の村松剛氏から聞いた話だが、ソン・ヘイカ日中友好協会会長が、とある北京のパーティーの挨拶の席上、「日本人は南京で30万人のわが国民を殺した」と発言した。村松氏は南京の状況を説明し、「貴方の言う南京30万人虐殺説は間違っている」と指摘した。すると彼は突然怒りだして、「30万人殺したという数字は日本の新聞が発表しているじゃありませんか」と興奮気味に反論した。つまり中国の反日歴史観とはほとんどが日本発なのである。
日韓併合100年の節目に
韓国は今年、日韓併合から100年目を迎える。筆者が韓国の歴代大統領の中で高く評価する李明博氏は併合100年で歴史問題には触れない姿勢を示した。李政権下、韓国の経済政策はこれまでと格段の違いを見せ、世界第9位の輸出大国に成長した。いまや情報技術や造船でもわが国を抜き、韓国経済は自信にあふれている。
一方、韓国のマスメディアは、いまだに日韓の関係は「加害者と被害者」であると筋違いな論調を繰り返している。韓国経済発展の基礎は植民地政策からの連続性であって、日本の植民地支配は、世界が認める歴史上例のない功績と高く評価されているのは周知のことだ。
韓国側が歴史問題に触れたくないと言っているのに、菅直人首相はあえて謝罪談話を発表した。日韓の民間団体が連動して日本政府に「謝罪と反省」を繰り返し強要する目的は賠償金である。慰安婦が韓国で「独立有功者」の扱いを受けたのは、一般女性の被害を食い止める防波堤となり、社会秩序の安定に寄与したためだ。そんな彼女らを食い物にする政治家や民間団体が謝罪を強要している。
倫理と道徳を復活せよ
日本の教育問題に熱心に取り組む義家弘介氏(自民党参議院議員)は、時局心話會札幌研修会(8.27ルネッサンスサッポロホテル)で、“教育と人材育成は国の未来に直結した最重要課題である”と強調した。義家氏は、初等教育(小1~小4)と前期中等教育(小5~中2)にすべての基礎となる教育、徳育、基礎知育などにバランスのとれた教育がなされているかを問うている。しかし、日教組の教員らは、「子供たちのため」と錦の御旗を掲げて、地域によってはイデオロギー闘争や政治闘争に子供を駆り出し利用している。これでは成長期の子供たちが潰れてしまう。
義家氏によると「現在、高校中退者は約6万5千人、高校への不登校者は5万3千人となり、全国で約12万人近くの生徒が高校生活に適応できず脱落している」と言う。これらの原因は先人たちが築いてきた日本人の美徳である倫理と道徳の喪失にある。国家国民とは倫理と道徳という基盤のうえに築かれた精神の共同体に他ならない。倫理と道徳が失われれば「忍耐力」も失われ、社会の害毒となる。教育によって倫理と道徳心を養い、子供たちに夢や希望を抱けるようにすることが望ましい。
非公開密室会議の是非
朝鮮学校とは既に述べてきたとおり、故金日成主席から続く金一族の歴史を生徒に教える学校である。ましてや、日本の過去を悪と断罪するでたらめな歴史観を教えてきた。朝鮮学校は朝鮮総連と共に日教組と共存し、日本民族の滅亡を共通の目標とする反日教育機関と見られている。しかも朝鮮学校を卒業したエリートたちの一部が工作員となり、日本人拉致にも手を貸す人間を生み出しているとの情報は様々な媒体に既に報じられている。
当初の計画では川端文科相が「専門家会議」の報告を受け取ることで授業料無償化適用を8月中に決定する手順であった。ところが最近、この問題を産経新聞が取り上げたことで与野党を問わず、反対意見が続出している。川端文科相は国会で、「専門家会議」に評価方法を任せ、手続きを取ると答弁したが、メンバーの氏名も会議内容もまったく公開されない専門家会議の評価次第で決定するというのは独裁国家、全体主義国家のやり口と全く同じではなかろうか。
次回は9月22日(水)