いよいよ中国は尖閣諸島への要求を皮切りに沖縄攻略の方針を打ち出したようだ。中国はこれまで尖閣諸島に干渉しなかったが、周辺近海に石油資源の埋蔵が明らかとなり、突如「中国固有の領土である」と主張し始めた。中国から見れば「琉球諸島」と呼ばれた時代の沖縄は、中国王朝の勢力圏であった。これらを根拠に1992年、中国はソ連の崩壊に乗じて「尖閣諸島、台湾、南沙諸島は中国の領海にあり、わが国固有の領土である」と勝手に自国の領海法を公布する。
中国国防部は尖閣、沖縄を奪取するため海軍増強を着々と進めて来た。中でも米空母を撃沈できる対艦弾道ミサイルの開発が顕著だ。のみならず中国製空母を5年以内に2隻建造すると発表した。中国の軍事費は年間7兆円規模となり、このまま行けば5年以内に沖縄周辺海域の力関係は一変することになろう。
中国は周辺国を軍拡によって威嚇し、それぞれが保有する諸島を一方的且つ手当たり次第に中国領土と喧伝し、軍事行動で恫喝する姿勢を示して来た。これは相手国から大幅な譲歩を迫る外交術であり、相手国を落とす「統一戦略」の手法に他ならない。
嘘を楽しむ中国人気質
中国に長く滞在した経験のある方たちに「中国人とはどのような性格の民族ですか」と尋ねると、皆が声を揃えて「嘘つきである」と答える。わが国では個人であれ企業であれ「嘘」をついたら信用を損ねて、暮らして行けない。わが国に限らず、信用社会で嘘は禁物だ。しかし、中国人と交渉、対峙する時はすべての発言が嘘だという認識がなければ被害は大だ。
中国人同士の間では一般の人民からハイクラス、政府要人、政治家に至るまで嘘は日常茶飯事であり、嘘を言っても憎悪と軽蔑の対象になることはない。中国人の嘘はいわば挨拶代わりのようなもので、真面目に向き合う日本人が馬鹿なのだ。
また、中国人は本心を言わず、都合が悪くなると曖昧にぼやかすのが得意だ。話が核心に触れると無関係な話を持ち出したり、嘘をまくしたてる。中国人は嘘を何より楽しんでいるのだから、彼らの嘘の主張や発言は許せない、信用できないと言うなら、それは我々側の認識が未熟であると知るべきだ。
対日歴史観も所詮は根拠のない嘘
弊誌は、中国が伝統的に個人から国家レベルまで平然と嘘をつき、傲慢な態度を振る舞って恥としない体質を持つ民族であると述べてきた。たとえばわが国領土である尖閣諸島を突如自国領土と勝手に宣言し、大量の漁船(解放軍)を意図的に近付け、しかも衝突させるなど、法的な根拠なき暴力威嚇がすべてを物語っている。
ましてや、先の大戦では日本軍との戦争で「二千万人の中国人民が殺された」とか、「1927年に南京では30万人の中国人が殺された」などと根拠もない嘘を平然とついて来た。中国における反日教科書に綴られている歴史観や南京虐殺記念館の展示と記録は全くでたらめの羅列である。それより日中戦争当時、中国に駐在していた日本人の一般婦女子が暴行、虐殺された通州事件など、悲惨な事実はほとんど報じられていない。中国人から受けた悲惨な日本人虐殺事件に言及したのは、一部報道機関だけであった。
それをよいことに、中国は、自国にとって都合のよい政治的な歴史観を捏造している。それゆえ、他国の領土を根拠なく、わが国固有の領土であると言い、威嚇することができるわけだ。毛沢東は嘘を何回も繰り返せば本当になると言ったが、いまや中国の嘘を放置したツケが、わが国の尖閣や沖縄に触手を伸ばさせる要因になっている。
東シナ海で傍若無人に振る舞う中国
中国の領土拡張に対する前提は、自国で勝手な法律を制定して自説を主張し、相手国の抗議を一切無視することにある。東シナ海のガス田開発でもわが国の抗議を無視して、中国の領域内であると勝手に宣言し、ガス田探査も採掘も続けて来た。それに反してわが国政府も帝国石油にガス田の試掘権を付与すると宣言したが、中国側の激しい反発と抗議を前に断念した経緯がある。
東シナ海を巡り、中国側は日本側の試掘権を断念させるため、「軍艦と戦闘機を出す」と居丈高に恫喝する。もし日本が勝手な真似をしようものなら戦争も辞さないとの態度を露わにするから、わが国政府も役人も恐くて仕方ない。実際中国軍が自衛隊を相手に「事を構える」となれば、軍事的には強力な自衛隊であっても、憲法や国内法の規制があって何も出来ない。結局は中国の言いなりに一歩一歩譲歩を重ねることになろう。
尖閣諸島はわが国固有の領土として日本人も住んでいた。これまで中国が議論を挟む余地はなかったが、突如中国は固有の領土と言い、訳のわからないうちに中国ペースに巻き込まれたというのが真相だ。これはわが国の外交不在と政治が機能不全に陥っている証左である。
解放軍が日本近海を独占する日
中国政府や解放軍はいまやわが国政府を無能な集団だと考えている。中国の脅しや行動に何ら反応を示さず、国益すら考えようとしない。そんな弱みを突いて、中国解放軍のボスである梁光烈国防部長は東シナ海、尖閣、沖縄諸島を中国の海にすると宣言した。
7月3日午後、中国海軍のミサイル駆逐艦とフリゲート艦が沖縄近海を通過した。これは中国海軍が太平洋海域での活動を活発化させ、今後同軍が自由に航行するという既成事実をつくるためである。4月には、中国東海艦隊が大規模艦隊を使い沖縄周辺を通過して宮古島近海で実弾演習を行っていた。
日本近海における中国海軍の活動が活発化しているにもかかわらず、日本政府や外務省は知らぬ存ぜぬの振りを決め込み、中国の軍事行動を黙認している。鳩山元首相は、東シナ海という平和な海を守り抜くには、中国とは事を荒立てず争いのない友愛の海にしようと考えて来た。しかし、日中間に平和と友愛はないという現実をわが国民は知ったのである。
華僑組織が尖閣奪還で団結
筆者は弊誌発行以来、中国の最大目標は沖縄にあると申し上げてきた。これは20年前、南京大学の教授にお目にかかる機会があり、教授は中国の最終目標は沖縄を元に戻すことだと発言したのである。地政学的、戦略的に見て、台湾・沖縄は中国の東アジア支配の重要な要であると認識した。
今日、中国系の反日サイト「918憂国網」をはじめ、尖閣諸島(魚釣島)は紛れもなく中国領土と主張し、本年は「五星紅旗」を掲揚すべきだと煽動している。既に中国民間不動産業者により、尖閣諸島は不動産売買の仲介業者が勝手に売買し不動産登記を行っていると聞く。
世界の華僑組織は尖閣防衛世界連盟の結成を予定し、来年6月には尖閣上陸を敢行するとされている。尖閣諸島奪還の最大目標は全世界の中華民族が団結し、中華民族が全世界を支配する野望に燃えており、彼らはまず尖閣を占拠し、沖縄奪還に向けて総力を結集中だ。
解放軍、胡錦濤国家主席に近海制覇を明言
筆者は、西側諸国の中国脅威論はあくまで誇大化された軍事力にあると解釈している。中国は30点くらいのことを70点くらいに持ち上げて宣伝し、軍事的脅威を盾に威嚇して来た。米国専門筋によれば中国は1988年から2007年の間に軍事費を21倍に増額し、国内経済はGDP(国内総生産)が10倍に増加した。一方、日米両国は国防への支出を軒並み削減し、守りに転じている。
中国解放軍の梁光烈は解放軍の決意として胡錦濤国家主席に対し、日米同盟、東アジア近海の「合従連衡・遠交近攻」の戦略思想を提案した。その中には「5つの戦略秘策」が明記されている。①(中国は)世界の強国になる前に地域の強国になる②地域の強国になるには強大な海軍力が必要③強大な海軍力を持つと共に「沖縄諸島」を獲得することが必要④「沖縄諸島」を獲得する前には台湾の統一が必要⑤台湾統一の前には「朝鮮半島」の完全な支配が必要としている。その出発点は尖閣諸島であった。
尖閣を複雑にする日本の腰砕け外交
沖縄本島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内で海洋調査を行っていた海上保安庁の測量船2隻が、中国の海洋調査・監視船から「調査を中止せよ」との要求を受けた。わが国の海保船は丸2日半にわたって中国船の追尾を受けた。
「ここは中国の管轄水域だ。国際条約と中国の法令に従い、調査を中止しなさい」と中国監視船から要求されたが、海保船は作業を続行した。これらの海上保安庁巡視船に体当たりした中国トロール漁船をわが国政府は公務執行妨害容疑で拿捕し、船長一人を残して中国人船員の帰国を認めた。韓国は中国との領海問題で、年間5000人以上の漁民を拘束している。
中国外交は嘘から始まり、嘘で終わると述べてきた。それ以上に問題なのは、わが国領海内でわが国のルールや国際秩序を無視した行動である。中国は今後も強硬な発信を続けるとみられるが、わが国政府の対応は受け身に終始して不甲斐ない。日本との関係悪化で困るのはわが国ではなく、むしろ中国側である。このような事態が続くと、中国にある10万社の日本企業が脱出を考えるようになる。わが国の環境技術産業の技術やODA、無償資金協力などの中断やイメージダウンなど、中国側の受けるダメージは計り知れない。今回の尖閣諸島問題でわが国民は、少なからず中国に対する不信と失望を感じたと思う。中国という国は本当に恐ろしい国なのであって、接触、深入りはケガの元である。
次回は10月7日(木)です。