自民党員が派閥に入るのは、選挙に有利となり、政権内でよいポストに就けるメリットがあり、政策の勉強のためとされてきた。しかし、いまでは選挙で接戦が予想される選挙区には自民党本部主導で有力な候補者が送り込まれるようになり、本気で政策について学び、実現させたいなら議員連盟をつくるという手段がある。自民党員の最も重要な一票を自分で選びたいとの考えから、私自身は派閥に所属していないが、特に不都合は感じていない。派閥に所属する一番のデメリットは、その時どきにふさわしい総裁を自分の意志で選ぶことができないようになることだ。
派閥の裏金問題は自民党の失態だったが、これを契機にやりたい政策を遂行できる能力がある総裁が選ばれるように自民党が変わり、党員も政策立案・実現能力を磨くように研鑽すべきだ。
経産省に23年勤務した後、政治家に転身し、別の政策を学ぶためにあえて古巣には寄らず、今回18年ぶりに経産相として復帰し、経産官僚の優秀さを実感している。生成AI、EVで世界の半導体の需要激増が見込まれるなか、熊本に台湾のTSMCを誘致し、北海道では世界最先端の半導体製造に向け、ラピダスの大規模な次世代半導体プロジェクトが進められている。いずれも数千億円規模を投じ、わが国の半導体王国復権を目指すものだ。いまや世界の主要国で、自国産業ファーストで巨額資金の個別産業への投資を推進する政策がとられている。わが国も、世界初となる国債を使った資金調達によって、半導体をはじめ、洋上風力発電、次世代太陽光発電などの産業支援に力を入れていく考えだ。
米中対立が続くなか、日本は難しい舵取りを迫られるが、対中関係を強化しつつ、日米豪印4か国(QUAD)で軍事的対抗をはかるべき。国内最大の問題は人口減少だが、日本製品に寄せられる信頼度は世界一であり、日本のこうしたポテンシャルを活かしていくことが重要だ。近年は若手のスタートアップが増えており、政策でも支援していきたいと考えている。
齋藤氏は、このほか、中東、ウクライナ問題に言及し、「こうした難題を背負えるのは自民党しかない」と断言。若手向けの勉強会を通じた次世代の議員への期待と自身への国会議員としての戒め、抱負についても語った。