「政民合同會議」8月3日 講師/鈴木 宗男 日本維新の会・参議院議員

2021年08月03日
  

「政局分析、憲法改正、北方領土問題等、日ソ・日露外交の真実が見えて来た」

 

 日本の電力需要に対するエネルギーの割合は石油・石炭が4割、LNG(液化天然ガス)が4割、風力や水力など再生可能エネルギーは約2割程度で、石油、天然ガスを中東に依存しているのが現状だ。2050年のカーボンニュートラル実現を目指すならこれまで以上に天然ガスに依存する必要があり、そのためにもエネルギー資源豊富な隣国ロシアとの関係強化は不可欠。

 2017年に安倍前総理は北方領土での日ロ共同経済活動を提案し、翌2018年11月にプーチン大統領との首脳会談で、「1956年宣言を基礎にして平和条約の交渉を加速する合意」(いわゆるシンガポール合意)。日ロ共同経済活動はまだ具体化していないが、中国も大きな関心を寄せているとされる。

 菅政権下で日ロ関係が停滞しているとの見方もあるが、昨年9月29日、初の電話対談で、プーチン大統領からは「シンガポール合意に沿って進めていきたい」と切り出され、好感触を得た。コロナ下で対面での首脳会談は難しくなっているが、米国バイデン大統領との首脳会談で対面会談の重要性を認識した菅総理は、ロシアとの対面での首脳会談に前向きで、9月にウラジオストークで行われる東方経済フォーラムを皮切りに、日ロ関係を発展させていくだろう。両首脳は武道の有段者であるなど共通項も多く、直接会えば馬が合うに違いない。

 1956年宣言では第9項に「歯舞・色丹は平和条約が締結された後に現実に日本に引き渡される」とあり、まずは歯舞・色丹の二島返還を求め、国後・択捉に関しては元島民の自由な往来、経済特区の設置などを求めていくことが現実的であろう。

 鈴木宗男氏は、「地政学的なメリットを考慮して、エネルギー豊富な隣国であるロシアとの関係を強化することが日本の発展につながることから、誰よりもロシアに向き合ってきた」として、日ロ交渉の経緯、ロシアの実効支配が進んでいる国後、択捉の現状、元島民の想いなどについて詳細に解説した。また、バイデン、菅、プーチンとも任期が2024年までであることに触れ、「2024年までが日ロ交渉を大きく進展させるチャンス。四島一括返還を頑なに主張し続けることはロシア側から交渉を打ち切られる恐れもあり、外交は相手があり、お互いの名誉と尊厳がかかっており、また、外交は積み重ねであり戦後の諸手続からして、日本の主張がすべて通ることはない。さらに「ロシアは旧ソ連の継承国であり、1956年宣言の有効をプーチン大統領は認めている、メディアは正しく真実を伝えるべき」と報道関係者への苦言も呈した。