「政民東京會議」2022年6月10日 講師/鈴木 宗男 日本維新の会・参議院議員

2022年06月10日
  

「ロシアと世界情勢について」

 ロシアのウクライナ侵攻は、日本では “ロシア=悪、ウクライナ=かわいそうな犠牲者”という構図だが、そう単純ではない。

 ゼレンスキー大統領は昨年10月23日、東部の紛争地域で親ロシア派武装勢力への攻撃にトルコ製のドローンを使用した。同地域には70万人のロシア人がおり、プーチン大統領にはロシア人を守る義務があった。そうしたなか、米国バイデン大統領はロシアのウクライナ侵攻の可能性を煽ってきた。

 ゼレンスキー大統領は就任当初から2014年のミンスク合意を軽視。今年2月19日にブダペスト覚書の再協議について演説し、核再武装の可能性を示唆した。同月、プーチン大統領は安全保障会議を開き、ウクライナ東部の親ロシア派勢力が掌握する2つの地域を独立国として承認すると宣言。ウクライナに話し合いを求めたがゼレンスキー大統領は応じなかった。

 ウクライナのドローン使用、ブダペスト覚書の再協議についての演説がなければ、ロシアのウクライナ侵攻は避けられた。

西側諸国がウクライナに武器供与、資金援助を続ける限り、戦争は長引くだけだ。わが国としてはG7、G20など国際社会との協調を通じて停戦に向け、行動すべきだ。

 鈴木氏はベルリンの壁、旧ソ連の崩壊やペレストロイカ、バルト三国の独立宣言、ワルシャワ条約機構の解体時にNATO拡大禁止の密約があったことにも言及。91年以降のウクライナとロシアの関係性の変化、ロシアのウクライナ侵攻に至る経緯について詳細に解説した。その後の質疑応答では日本の果たすべき役割、プーチン大統領の健康状態、停戦の実現に向けた具体的な動きなど、さまざまな質問が寄せられた。同氏は、「岸田総理が停戦実現の旗振り役となって国際社会で存在感を示すべき」「プーチン大統領の健康悪化説は、ある国が意図的に流しているもので、健康状態は問題ない」「ロシアのウクライナ侵攻は、先に武力行使したロシアが悪いが、原因を作ったウクライナも悪い。喧嘩両成敗だ」との見方を示した。