台湾は弊会代表の山本善心の思い入れが強く、台湾の「群策会(会長 李登輝台湾元総統)」と共催して、現地でシンポジウムを開催するなど、台湾を代表する方々の参加を得て、「台湾研修会」は日台親善に貢献して来ました。
会員を中心にたびたび訪台し、超党派の国会議員28名をお連れしたこともあります。
2016年「台湾研修会」5月27日~29日
今回は李登輝台湾元総統が体調を崩されたのでお会いができませんでした。
「台湾研修会」では施明徳氏と黄天麟氏の講演が行われましたが、参加者はお二人のお話に感銘を受けるものでした。
まず、國賓大飯店で民進党第6代主席の施明徳氏からお話を伺いました。施氏は蒋介石独裁統治時代に台湾国民党の独裁政治に反抗し、さらに民主・自由を煽動したとして、内乱罪で死刑、無期懲役が宣告され、一度は釈放されたものの再度逮捕、無期懲役刑、計25年半の牢獄生活を送られました。後に民進党第6代主席になられました。施氏のような壮絶な体験をされた方は世界広しといえども珍しいことです。「台湾のマンデラ」と呼ばれる所以です。施氏は年齢(75)より若く見え、エレガンスな雰囲気でとても25年半も牢獄で過ごした人には見えませんでした。参加者は講演の中で施氏の若かりし頃の生き様に驚き、引き込まれるように耳を傾けておられました。
また、元国務大臣の黄石城氏から来賓のご挨拶をいただきました。黄氏はクリーンな政治家として台湾では有名な方です。日本でも「権力無私」(海苑社刊)という本を出版されています。弊会代表の山本が黄石城氏は日台関係の正常化のために貢献されただと言っていました。
國賓大飯店の四川料理は台湾の食通、著名人が通う有名店だけあって料理の味に皆さん大満足の様子でした。
二日目は、朝から夕方まで観光を行い、昼食は台湾でミシュランに選ばれた「鼎泰豊」。この店は海外でも多く出店され、グローバル企業として最も成功した飲食店です。この店の本店は300席あり、1日に2000~3000人が訪れると聞いています。庶民的ではあるが、さすがに味は絶妙でした。
夕方、「真的好」で元総督府国策顧問・元第一商業銀行頭取であった黄天麟氏のお話を伺いました。数年前、黄氏は安倍政権の発足前から、日本は円安にすべきだと主張されていたのが印象に残っていましたが、先見性を持つ見識の深さに頭の下がる思いでした。参加者から黄氏の講演はすごく良かったとの声がしきりでした。
「真的好」での夕食は、舌と目を楽しませる台湾最大の人気店。フカヒレ、伊勢エビ、アワビなど、良質で最高級の食材を使っての調理技術に思わず“うまい”と参加者をうならせました。
台湾人の歴史認識は、台湾での日本統治はすごく良い時代だったと思っています。だから、台湾人は親日的なのです。こんなに台湾人が日本に目を向けているのに、日本は台湾への気遣いがなく、台湾をないがしろにしてきたのではないかとの不満もありました。
2016年5月27日(金)
「台湾研修会」
講師/施 明徳 民進党・第6代党主席(台湾)
演題/「民進党新政権誕生後の台湾の行方」
アジアで最も若い国の一つである台湾は、日本の統治時代、日本によって民主化されました。先の大戦後、国民党政府により1949年から1987年まで38年間にわたる戒厳令が敷かれ、この間多くの人々がいわれなき罪で投獄され、自由にものを言えない時代が続きました。その中でも“台湾人の国をつくりたい”という強い想いで反対活動は続きました。施明徳氏は蒋介石政権時代の1962年、「1つの中国、1つの台湾」を唱えた罪で逮捕され15年間投獄。出獄後、民主化運動に携わり、再び10年間投獄されました。1987年に蒋経国によって特赦を言い渡されましたが、無罪なのに特赦を受けるいわれはないと拒絶し続けました。1990年、李登輝総統時代に「判決無効」宣言を受け、ようやく自由の身になりました。服役期間は通算25年半に及びます。
2006年には陳水扁氏の汚職腐敗反対運動を提唱し、一人あたり100元を郵便為替で送金する方法で組織化を目指し、一週間で130万超の寄付を集め、赤シャツを着て100万人の人間の鎖をつくり、旧台北城の外周を包囲。陳水扁に辞任を求めるデモを行い、検察を動かし、関係者を汚職で起訴するに至りました。
これらの民主運動の指導者として、2007年のノーベル平和賞候補にノミネートされ、「台湾のマンデラ」とも呼ばれる施明徳氏は、断食などで抵抗し、何度も病院送りになるなど、四半世紀に及ぶ獄中生活の過酷さについて振り返ることは忘れてはいません。氏は自らの軍事審判によって、台湾人が台湾の将来を考える契機になったことは「革命の成果だ」とし、汚職腐敗を起こした陳水扁氏については「権力は人を傲慢にする。どんな人でも誘惑と戦うことは難しい」と語りました。また、新総統に選出された蔡英文氏に対しては「自分とはスタイルが違う学者タイプ」「中身のない空心菜」と分析したこともあります。このほか、台湾の未来について、「中国、日本、米国の関係によって左右されるが、中国の言う“一つの国”にはならない」と力強く語るのでした。
その後の質疑応答で、過酷な半生を歩みながら明るい秘訣を尋ねられと、「拷問で22歳にして歯が一本もなくなる辛い経験もしたが、辛い人生は一度で十分。憎むことにとらわれると自由の身になっても心がつながれることになってしまう。大切なことは人を許すこと」と語り、参加者を感動させました。
2016年5月28日(土)
「台湾研修会」
講師/黄天麟 元総督府国策顧問、元第一商業銀行頭取
演題/「台湾から見たアベノミクスと中国寄り台湾経済の行方?」
日本は戦後、1ドル360円という円安を背景に驚異的な復興、その後の高度経済成長を果たしました。1970年代からは台湾が、さらに遅れて1980年代からは韓国も同様に経済成長を成し遂げました。しかし1985年のプラザ合意を機に日本は失われた23年に突入。この時期に中国が市場経済に切り替え世界経済に参入しました。中国は大幅な元の切り下げ、13億の人口を武器に“世界の工場”として名乗りをあげ、世界の資本を導入して急成長。昨年の中国の貿易黒字は最高額に達しました。中国は広大な土地、膨大な人口を持ち、専制政治、地下経済であるのに世界の自由経済を闊歩する巨竜です。
中国の莫大な貿易黒字の裏で他国の生産業は大打撃を受けています。これが世界経済の不均衡をもたらしています。人民元の過小評価が中国経済の源泉であり、アジアの覇権、世界の盟主を目指す中国の夢が世界経済の不均衡を引き起こし、ブラックホール現象を招いています。大きい経済体と小さい経済体が衝突すれば、小さい方は飲み込まれるのが必然です。これに目覚めたのがアベノミクスです。
日本の失われた23年の原因は、バブルの後遺症でも構造問題でもありません。為替と少子化問題、そして中国の台頭にあります。ドルに対してこの23年間、切り上げを行ったのは日台の二国だけです。
遅まきながらようやく為替が問題と喝破したのが安倍首相だが、円安是正に向けた為替の直接介入は行わず、少子化対策を放置。労働者が毎年1.5%減少し続け、経済縮小を招いています。また、ある時期まで一定の効果を上げたアベノミクスだが、昨年以降円安導入の失敗で停滞を続けているのが実情です。
生産の56%を中国に依存している台湾は、いまや中国に包囲され、中国経済に飲み込まれてしまう危険をはらんでいます。中国の反対を恐れ、台湾は中国以外の国とのFTAもなく、TPPにも加入できないでいます。馬英九氏は中国に入って、中国から世界に向かうという方針を掲げていましたが、蔡英文氏は「一つの中国」を承認しない可能性が大いにあります。台湾の将来は、中国の出方、蔡英文氏の出方次第で決まります。仮に台湾が「一つの中国」を拒絶し、中国が強く出た場合、中台は疎遠になり、必然的に台湾の経済は良くなります。これは過去400年間の中台の歴史から断言できることです。
- 講師は黄天麟氏
「台湾研修会」での思い出の写真
- 施明徳氏のご講演と歓迎会の後の集合写真
- 施明徳夫妻と山本新太郎
- 台湾の元国務大臣の黄石城氏と山本新太郎
- 施明徳氏、黄石城氏を囲んでの食事会の模様
- 占い横丁の地下街にて
- 最終日、参加者と昼食を
2014年5月22日~24日「台湾・高雄研修会」
5月22日(木)
淡水綜合研究院に李登輝元総統を訪ねる
淡水にある台湾綜合研究院で李登輝元総統の講演会が行われました。李元総統は安倍総理のリーダーシップとアベノミクスを高く評価し、「今、日本に必要不可欠な問題は憲法改正だ」と力説。李元総統は2時間半にわたって熱弁を振るわれ、91歳とはとても思えないパワフルな講演に一同驚かされるばかりでした。初参加のメンバーも李元総統の親日的な発言と想いに感動したものです。
- 山本新太郎と李元総統とは3年ぶりの再会であった。
- 李元総統を囲んでの参加者との集合写真。
「研修会」と「台湾立法委員を囲む晩餐会」
元台湾総督府国策顧問で元第一銀行会長などを歴任された黄天麟氏に「東アジア経済の展望」という演題でお話いただきました。黄氏は台湾の政財界でも一目置かれる経済評論家です。氏も安倍総理のアベノミクスによる金融政策を高く評価されています。講演後、台湾で有名な國賓大飯店の四川料理で会食。元国務大臣の黄石城氏が乾杯の音頭をとり、また、彰化県知事候補である黄文玲氏らが来賓として参加されました。
- 弊会とは古い付き合いの黄石城氏の挨拶。
- 当時、 台北市長選挙に立候補予定の姚文智氏。
- 加藤栄氏と藤江強氏。名古屋のメンバーである。
- 良い雰囲気のなか、写真をとる女性陣。Vサインは若林和子(東京)
- 左CBC自動車学校社長(名古屋)西村昌績氏右医療法人さわらび会福祉村病院の副理事長(豊橋)山本左近氏。
- ワインを飲みながら、和気藹々の雰囲気の面々。左から二番目渡邊樹志氏(名古屋)。
5月23日(金)
「高雄市内観光」「南国の高雄晩餐会」
台湾の新幹線で高雄へ観光に出かけました。高雄忠烈祠、イギリス領事館、高雄湾、ショッピングモールなどの観光地巡りに参加者は大満足。夜の南国高雄晩餐会には、李永得高雄副市長、曾文生高雄市政府経済発展局局長など、多くの役人が来賓として参加され、一行へ歓迎のご挨拶をいただきました。
台湾を代表する要人の登場に「楽しくて為になった」との声をたくさんの方から頂戴し、主催者としてもうれしい研修会になりました。「2年後に、台湾で再び李登輝元総統のお話を伺いたい」との声が強く印象に残りました。
- 雨がぱらつくなか高雄市内を観光し 、台湾を満喫した面々。
- 頼清徳高雄市長の代理として、晩餐会で挨拶をする李永得高雄副市長。
- 晩餐会でスナップ。中央奥は田中健惠氏。
2011年7月17日~19日「台湾研修会」
7月17日(日)
淡水綜合研究院に李登輝元総統を訪ねる
2011年7月17日(日)から19日(火)の3日間「日台アジア会議」が台北で開催されました。李登輝元総統はお元気そのもので、「よく来てくれましたね。楽しみに待っていましたよ」と述べられ、「日本と台湾が一つになって政治と経済に学び、世界平和と安全に協力すべき」と強調されました。
一行約60名は、淡水の台湾綜合研究院で李氏から約2時間30分にわたりお話を伺いました。李氏は「かつての植民地時代に日本が台湾のインフラに膨大な予算をつぎ込んで今日の発展の基礎になった」「日台は政治と経済、安全保障面で一つになる政策や理念が必要」と強調され、会議参加者からは「他国とは異なる」「真実の声を聞いた」との声が多く寄せられました。
- 李閣下は講演中、山本善心の「木曜コラム」の読者であると述べられ、貴重な情報資料として購読していると述べられた。
- 時局心話會の代表の山本と李閣下がお会いするのは数えきれず、「政治家として尊敬の念を禁じ得ない」と之べった。
自由時報社の呉阿明董事長を訪ねる
呉氏は今年で88歳になられるが、氏の目には力がみなぎっており、背筋もピンと伸び、あまりにもお元気なので、驚くばかりでした。会員のケン・コーポレーションの田中健介氏がその若さの秘訣に迫ると、「私は毎朝、1時間の運動をして、仕上げに腕立て伏せを60回します。そして、一日に何度も寝ます」と明かしてくれました。李登輝元総統も毎日よく寝ることを習慣にされていて、それが健康の秘訣だと言っておられました。そんな氏は、自ら「私は日本人精神を持った昔の日本人です」と述べられたが、先人たちを見るようで懐かしさを感じるものでした。 講演の演題は「台湾統治時代の日本人」。とくに印象的だったのは「大東亜戦争がなければ東南アジアの国々は、いまも白人の植民地だった。当時、日本軍が南進した際に抵抗したのは白人と華僑だけで、原住民のほとんどは反抗していない。人類史からみると日本は台湾にいいことをした」と明言されたことです。実際に台湾統治時代を経験された台湾人の口から出てくる証言は近隣諸国の対日歴史観を覆すもので、一行にとって、日本の古き良き時代に触れたとても貴重な時間でした。
- 「自由時報」は台湾で一番大きい新聞社の会長呉阿明氏、88ばn歳とは思えぬ元気さだ「自由時報」台湾で一番大きい新聞社の会長
- 日本精神を教えられる呉阿明氏
- 「自由時報社」での講演の模様
7月18日(月)
黄天麟氏の講演と「商談会」
AM9:00~12:30 晶華酒店 特別会場
台湾総統府顧問・第一銀行頭取を歴任された黄天麟氏が「日台経済連帯とアジア経済の意義」と題して講演。そのなかで、氏は「日本経済は必ず立ち直れる。要するに日本銀行がドルを買えばよい。ドルを買えばそれ以上円高にならず、日本の為替準備があがるのに、なぜ日本銀行はそれをしないのか。日本はこの10年間デフレが続いているが、それを是正するには円をばらまけばよい。ドルを買って円を出せばデフレはなくなり、日本の外貨準備が増え、世界での立場も強くなる」と述べていられたのが印象的でした。氏の講演は評判が良く、「またゆっくりと聞きたい」との声が参加者から寄せられました。
その後の「商談会」では日本と台湾の経済人が歓談。日台のビジネス関係の大切さを認識しました。
- 黄天麟氏は台湾で著名な経済専門家だ
- 商談会に参加された日台経済人
- 元国務大臣、黄石城氏も
- 台湾側と名刺交換する右、田中健介氏
「日台経済人交流晩餐会」
PM6:00~晶華酒店 ⅤIP特別会場
特別ルームでの交流晩餐会には、台湾民進党の最高顧問・黄昭堂氏がご参加。黄氏は流暢な日本語で約20分間、日台経済の交流と日台関係の未来について期待を述べられました。最後の夜にふさわしい、一流ホテルならではの料理を堪能。台湾のトップを飾る方々から本音を伺えた有意義な晩餐会でした。
- 挨拶する黄昭堂氏
- 左、司会者の邸栄金氏
- 田中健惠氏と小野綾子氏
- 左から田中健介氏と山本善心と黄昭堂氏
- 若手トリオも参加
2008年2月15日~17日「台湾研修会」
2月15日、台湾最大の新聞社、自由時報社の呉阿明董事長を表敬訪問。氏は、「日本が西欧列強と戦ってくれなかったらアジアの独立はなかったであろう」と述べられました。我々の訪問の様子はその日の夕刊に掲載されました。
その夜のシンポジウムでは、台湾で人気のニュースキャスター陳雅琳氏を講師にお招きして最新の台湾情勢を伺いました。
翌2月16日には謝長廷総統候補を訪問。氏は「私は京都大学出身の親日派です」と冒頭で挨拶されました。その後、参加者から贈呈された大型のダルマに謝氏が当選の願いを込め、自らその右目に墨を入れたのです。このほか、CBC自動車学校の西村昌績氏が、謝氏の好きな橋幸夫氏のCDを贈呈し、謝氏が大喜びだったのが印象的でした。
その後、李登輝元総統にお会いできました。李元総統は弊会からの参加者一人一人の名前を呼んで出迎えられ、その心遣いに一同驚くばかりです。
李元総統の熱演は1時間の予定が3時間に及びました。大正生まれの李元総統に見られる、今の日本ではすっかり見られなくなった教養や精神の深さは一行に大きな感動を呼び起こしました。李元総統は「人間には人間性、人格が肝要。人の上に立つ人は権力や財力があっても人格がなければ短命に終わってしまう。また、教養を強く強調されました。歴史、哲学、芸術や科学技術等々各方面の学習によって、総合的な教養を養成し、進んでは国を愛し、人民を愛する心を備えなければならないと同時に、人間なるもの人格を磨くことが必要不可欠です」と主張されました。
夜の宴会では、日本人と台湾人の経営者が多数集まり、親睦を深めました。参加者各位から、「今回の台湾旅行は最高だった」との声が漏れ伝わってきたのは担当者として嬉しい限りです。
当日はホテルの大フロアで日台経済人による交流パーティが開かれました。台湾側からは、IT関係の若い経営者が多数参加されたのが印象的でした。
2月16日 AM10:30 謝長廷候補の選挙事務所を訪問
謝候補は「私は京都大学でお世話になった、台湾を代表する知日派」と挨拶。「対中政策は、台中共生と和解が中心テーマ」と述べられました。
2月16日 PM3:00 李登輝元総統の台湾綜合研究院を訪問
李元総統は参加者一人一人と握手され、「台湾と日本は仲良くやりましょう」と講演されました。元総統は訪問団の企業経営者に対し「指導者の条件とは“素質と能力”であり、継続するには“人間性”がなければ成功できない」と自らの経験から述べられました。また「今後の日本の命運は優れた指導者如何である」と言われました。